「食品ロス」はなぜ地球の課題?私たちが今日からできること
はじめに:なぜ食品ロスは世界的な課題なのでしょうか
冷蔵庫に残った食材や、つい買いすぎてしまった食品を、期限切れや食べきれずに捨ててしまった経験は、多くの方にあるのではないでしょうか。これらは「食品ロス」と呼ばれ、日本では年間約500万トンもの食品が捨てられていると推計されています。これは、国連WFP(世界食糧計画)が世界中に支援している食料の総量に匹敵すると言われています。
食品ロスは単にもったいないというだけでなく、地球環境、経済、そして社会全体に深刻な影響を与える、私たちの未来に関わる重要な課題です。この記事では、食品ロスがなぜSDGs(持続可能な開発目標)と深く関連し、私たちが今日からできる具体的な行動について解説します。
食品ロスとは何か?その現状と地球への影響
食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。これには、家庭から出る食べ残しや賞味期限切れの食品、お店やレストランで廃棄される売れ残り、規格外の農産物などが含まれます。
世界では、生産された食料の約3分の1が毎年捨てられているとされており、その量は年間およそ13億トンにもなります。この膨大な量の食品ロスが、以下のような形で地球に大きな負担をかけています。
- 資源の無駄遣い: 食料を生産するためには、広大な土地、大量の水、そしてエネルギーが使われます。食品が捨てられるということは、これらの貴重な資源も同時に無駄になっていることを意味します。
- 温室効果ガスの排出: 捨てられた食品は、多くの場合、焼却されたり埋め立てられたりします。焼却すれば二酸化炭素が発生し、埋め立てればメタンガスという強力な温室効果ガスが発生します。これらは地球温暖化を加速させる要因となります。
- 経済的な損失: 食品ロスは、生産、輸送、加工、販売、そして廃棄にかかる全てのコストを無駄にします。これは、家庭にとっても、企業にとっても大きな経済的損失です。
SDGsと食品ロス:私たちの行動が未来を創る
食品ロスの問題は、SDGsの複数の目標と密接に関わっています。特に、以下の3つの目標において、食品ロス削減は重要な役割を担っています。
目標2:飢餓をゼロに
世界には、十分な食料を得られずに飢えに苦しむ人々が約8億人もいると言われています。一方で、私たちはまだ食べられる食料を大量に捨てています。この矛盾を解消するためには、食品ロスを減らし、食料を公平に分配する仕組みを作ることが不可欠です。私たちが食品ロスを減らすことで、限りある食料資源を有効活用し、食料が本当に必要な場所に届く可能性を高めることができます。
目標12:つくる責任 つかう責任
この目標は、「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目指しています。食品ロス削減は、この目標の重要なターゲットの一つです。私たちは、大量に生産し、大量に消費し、大量に捨てるという現在の消費パターンを見直し、資源を大切にしながら、必要なものを必要なだけ生産し消費する「持続可能な消費」へと転換する必要があります。食品ロスを減らすことは、資源の循環を促し、地球の許容量を超えない形で暮らすための具体的な行動になります。
目標13:気候変動に具体的な対策を
食品ロスは、先述の通り温室効果ガスの排出源となります。食品ロスを削減することは、ごみの量を減らし、焼却や埋め立てから発生する温室効果ガスの量を減らすことに直結します。これは、地球温暖化の進行を遅らせ、気候変動による災害や環境破壊を防ぐための重要な対策の一つとなります。
私たちにできること:今日から始める食品ロス削減アクション
食品ロスは大きな問題ですが、一人ひとりの少しずつの行動が積み重なることで、大きな変化を生み出すことができます。ここでは、皆さんが日常生活で実践できる身近なアクションをご紹介します。
1. 買い物をする前に冷蔵庫をチェックする
「同じものを買ってしまった」「まだストックがあった」といった経験はありませんか。買い物の前に冷蔵庫の中身を確認し、今ある食材を把握することで、無駄な買い物を防ぎ、使い切る計画を立てやすくなります。
2. 計画的に買い物をする
一週間分の献立を考え、必要な食材だけをリストアップして買い物に行きましょう。まとめ買いをする場合は、冷蔵庫や冷凍庫の容量、家族の消費ペースを考慮し、使い切れる量を見極めることが大切です。
3. 食材を適切に保存する
食材を長持ちさせるためには、適切な保存方法を知ることが重要です。野菜は新聞紙に包んで冷蔵庫に入れる、肉や魚は小分けにして冷凍保存するなど、少しの工夫で鮮度を保ち、無駄なく使い切ることができます。
4. 食べ残しを減らす工夫をする
- 作りすぎない: 家族の人数や食べる量を考慮して、適量を作ることを心がけましょう。
- 残ったものを活用する: 余ったおかずを翌日のお弁当にしたり、リメイク料理に挑戦したりするのも良い方法です。
- 「もったいない」を意識する: 外食時やビュッフェ形式の食事では、食べきれる量を注文・取るようにしましょう。
5. 賞味期限と消費期限の違いを理解する
- 賞味期限: おいしく食べられる期間の目安です。期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。見た目や匂いで判断し、まだ食べられるものは無駄にしないようにしましょう。
- 消費期限: 安全に食べられる期間の目安です。期限を過ぎたものは食べない方が安全です。
まとめ:未来のために、今日の選択を
食品ロスは、地球規模の大きな課題ですが、その解決の鍵は、私たちの身近な行動の中にあります。一つひとりの小さな工夫が、食料の無駄をなくし、地球の資源を守り、未来世代に豊かな地球を引き継ぐための大きな力となります。
今日からできることを一つずつ実践し、SDGsの目標達成に向けて、私たち一人ひとりができる貢献を始めてみませんか。あなたの選択が、持続可能な未来を創る一歩となるでしょう。